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日本法学の新たなあり方を探求し世界へ発信

  • 稲谷 龍彦
  • 稲谷 龍彦
  • 2013年度(第2期生)

Profile

所属先
京都大学大学院法学研究科 准教授
最終学歴
京都大学大学院 法学研究科 法曹養成専攻
派遣先
パリ政治学院・シカゴ大学
派遣期間
2013年9月〜2015年8月
ハーバード大学のワークショップで、同僚たちと
ハーバード大学のワークショップで、同僚たちと
7月14日のパリの夕暮れを家族で歩きました
7月14日のパリの夕暮れを家族で歩きました
Q1
今回の研究テーマを、ご紹介ください。

明治維新以後、わが国の法学における研究手法は比較法が重視され、先進諸国の「進んだ」法制度を輸入・定着させることが、法学研究の主要な内容とされてきました。

もっとも、西洋法の継受による「近代化」が、アプリオリ(先天的・先験的)な目標とされたため、「比較」とはどのような知的活動なのか、あるいは「進んだ」法制度とは何なのかといった、法学における研究手法の根本に関わる問題については、十分に分析されてきませんでした。

このような問題状況を踏まえ、グローバル化し、多極化する世界においてなお通用しうる比較法のあり方と、刑事司法制度への適用方法について、学際的視点から批判的に検討しています。

Q2
この留学で、主にどのようなことを行ってこられたのか、簡単にお答えください。

昨年度はパリ政治学院で、哲学的な視点から、グローバル化し、価値の衝突が顕在化する現代において、近代法が不可避的に直面する問題群について分析し、新たな法学のあり方について思索しました。本年度はシカゴ大学で、学際研究方法論の探求と隣接諸科学の知見の深化に努め、昨年度の思索の成果を具体化しようと試みています。

日々の研究においては文献精読を基本としつつ、各種研究会へ積極的に出席することで、様々な分野の研究者と交流し、大きな刺激を受けています。また、おりに触れてインタビュー調査などのフィールドワークを行い、「生きた知識」の獲得に努めています。

Q3
国際フェローシップについての評価

非常に手厚い支援のおかげで、妻も子も不安なく海外生活を送ることができ、家族一同大きく成長したと思います。遠隔地で行われる研究会への参加や、実地調査についても積極的に行うことができ、視野を大きく広げられました。これほどの手厚い支援を受けられるフェローシップは他にはないので、在外研究への意欲にあふれた方は、積極的にご応募いただければと思います。

Q4
日本に戻ってきてから、この留学の成果を、
どのように生かそうとお考えか、お答えください。

フェローシップの期間をとおして最も印象的だったのは、近代的な諸価値の揺らぎがもたらす近代法制度の危機に対して、各国の法学者の方々が強い決意で臨み、新たな法学のあり方を必死で模索していることでした。それゆえ、グローバル化する世界に同じく生き、現代法のあり方を模索する一法学者として、日本法学の新たなあり方を探求することはもちろん、その成果を積極的に世界に発信することで、世界各国の同僚たちとともに、この困難な時代を切り拓くことに、貢献したいと考えています。