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研究の対外発信を考える1年間

  • 玉田 大
  • 2012年度(第1期生)

Profile

所属先
神戸大学大学院法学研究所教授
最終学歴
京都大学大学院法学研究科・博士後期課程終了
派遣先
ロンドン大学クイーンメアリー校スクール・オブ・ロー
派遣期間
2012年9月〜2013年8月
著書
国際裁判の判決効論
エディンバラ大学にて
エディンバラ大学にて
ロンドン大学クイーンメリー校法学部入口
ロンドン大学クイーンメリー校法学部入口
Q1
今回の研究テーマを、ご紹介ください。

「グローバル化と対外投資の法的保護」が研究テーマです。TPPなどのFTAでは、投資保護規定を設けた上で、ISDS(投資家対国家の投資仲裁)という紛争解決メカニズムを通じて法的に投資を保護しています。今後、外国に投資している日本企業は、現地で投資損害を被った場合にはISDSを通じて損害賠償を求めていく時代になります。逆に、日本で投資を行っている外国企業が日本政府を相手に訴えることも考えられます。そのため、国際投資法と国際投資仲裁をしっかりと研究し、実務的にも対応していく必要があります。
なお、今回の在外研究の(裏)テーマは、研究の対外発信でした。文献を読むだけであれば、日本にいた方が研究環境は整備されています。むしろ、どのようにして自分の研究を海外に向けて発信できるかという点を常に考えていました。

Q2
この留学で、主にどのようなことを行ってこられたのか、簡単にお答えください。

ロンドン大学クイーンメリー校商事法研究所(University of London, Queen Mary, Centre for Commercial Law Studies)で客員研究員となりました。ロンドンでは、大学や研究所が毎日のようにシンポジウム、セミナー、ミーティング、講演会を開催しており、こうした場を通じて、研究者・実務家・学生・一般人を含めた知的コミュニティーが形成されています。国際投資法はロンドンでも関心が高く、シンポジウムには法律実務家も数多く参加していました。また、英語での学会報告を経験するために、英国を含めた諸外国で学会・シンポジウム報告の機会を探し、全部で5回の報告を行いました。

Q3
国際フェローシップについての評価

大変充実した研究助成をいただきました。日本財団からの助成がなければ、賃貸料と物価が極端に高いロンドンで研究を行うことは困難です。また、諸外国での学会報告に際して、研究旅費助成もいただきました。驚いたことに、世界各地で「Nippon Foundationの助成を受けている」という外国人研究者に会いました(主に海洋法研究者です)。日本財団を通じて、世界各地に人脈が形成されていることを実感しました。研究者は、「研究に最低限必要なお金があれば十分」と考えがちですが、貴重な1~2年を海外で費やし、しかも大きく研究を進めようとするのであれば、それに見合うだけの資金的な準備をすべきだと思います。在外研究を考えている方は、是非チャレンジしてください。

Q4
日本に戻ってきてから、この留学の成果を、
どのように生かそうとお考えか、お答えください。

今回の在外研究を通じて、研究者の人脈を形成し、利用することが非常に重要であることを実感しました。最大の成果は、神戸大学における捕鯨シンポジウムの開催です。今回の在外研究中に、マルゴシア・フィッツモーリス教授(ロンドン大学クイーンメリー校法学研究科)と知り合いになり、日本に招聘することができました。まずは神戸大学客員教授になっていただき、さらに、滞在中に国際司法裁判所の捕鯨事件に関する国際シンポジウムを神戸大学で開催しました。フィッツモーリス教授のお蔭で、世界中から著名な研究者・実務家を招聘することができ、シンポジウムは大いに成功しました。また、成果物の英語での出版も予定しています。今後もこうした海外研究者との人脈を利用して、共同研究を進め、あるいは研究の対外発信を進めていきたいと考えています。