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2016年度フェロー(第5期生)紹介

阿部 圭史

所属先
厚生労働省大臣官房国際課
最終学歴
北海道大学医学部医学科
派遣先
ジョージタウン大学外交大学院 修士課程
派遣期間
2016年7月~2018年6月

研究テーマ

国際的な危機に対する国際社会の対応及びその後の秩序構築に関する研究

2013年に厚生労働省に入省して以来、西アフリカにおけるエボラ出血熱アウトブレイクへの対策や、韓国における中東呼吸器症候群(MERS)アウトブレイクへの対応等、国際的に蔓延するおそれのある感染症の危機管理に従事してきた。グローバル化が進む現在、地球の裏側で起きた危機の影響は、容易に国境を越え、我が国まで波及する。そのため、国内外の施策の連携の重要性が益々高まっている。このような状況下、我が国は、エボラ出血熱に対する国際社会の対応の教訓を踏まえ、将来の新たな危機に備えるべく、世界保健機関(WHO)の健康危機管理に関する改革をG7議長国として主導しているところである。
以上を踏まえ、国際フェローシップを通じ、国際的な危機に対する主権国家及び国際機関等の政策的対応及びその後の秩序構築のあり方について研究し、国際社会の諸課題に対処するための政策の企画立案能力の向上を図る。

井上 陽介

所属先
東京大学大学院医学系研究科国際保健学専攻(平成28年6月まで)
最終学歴
東京大学大学院医学系研究科国際保健学専攻博士課程単位取得済満期退学、博士(保健学)
派遣先
ノースカロライナ大学チャペルヒル校カロライナ人口センター
派遣期間
2016年7月~2018年6月

研究テーマ

途上国社会における急速な都市化の健康影響評価

これまで主に中国海南島の農村部コミュニティで、人類学(生物人類学・人類生態学)のフィールド調査・研究を展開してきた。1988 年に経済特区に制定されてから続く急速な発展の影で、ライフスタイルの欧米化や格差の発生など、人々の健康を損なう要因が広まりつつある。そうした社会変化が与える健康影響について評価し、学術論文として発表してきた。
国際フェローとしては、疫学・公衆衛生学の手法を活用して途上国の大規模データを分析し、これまで「私の村」で得た知見の一般化を図ろうと考えている。ノースカロライナ大学チャペルヒル校では、中国に暮らす人々の生活様式の都市化と健康の関係を調べることを目的として、1989年から現在まで大規模フォローアップ調査(China Health and Nutrition Survey:CHNS)が実施されている。滞在中は、CHNSのデータを用いた共同研究を進めるほか、途上国社会の慢性疾患について研究する疫学・公衆衛生学の研究者と交流することを予定している。

大路 紘子

最終学歴
早稲田大学大学院アジア太平洋研究科
派遣先
ブランダイス大学ヘラースクール
派遣期間
2016年8月~2017年12月
著書
大路紘子 「中国NGO 打工妹之家 に見る女性出稼ぎ労働者のエンパワメント」
(西川潤, 八木尚志, 清水和巳編 『社会科学を再構築する』明石書店, 2007.)

研究テーマ

社会的起業とインパクト・マネジメント

「貧富の差の上に成り立つ社会構造をいかに再構築するか」 学生時代から一貫してこの問題意識を抱えてきた。大学院修了後は、民間企業と非営利団体にそれぞれ約5年勤務した。民間企業では、法務部員として多くのM&Aに関与し、また途上国開発を担う非営利団体に所属してからは、カンボジアにて人権・医療・栄養と多岐にわたる分野のプロジェクトに従事した。国際フェローシップを受けて、企業と非営利団体の双方の強みを有するソーシャルビジネスの立ち上げおよび経営について学び、社会的弱者とされている人々のエンパワメントを通じた、社会構造改革のモデルを構築することを目指す。留学後は、ソーシャルビジネスを通した格差の解消、社会構造の再構築を、日本を含むアジア各地で実現させたい。

尾角 光美

所属先
一般社団法人リヴオン 代表理事
最終学歴
同志社大学文学部社会学科新聞学専攻 卒業
派遣先
ヨーク大学大学院 国際比較社会政策プログラム 修士課程
派遣期間
2016年9月~2017年9月
著書
なくしたものとつながる生き方
在悲傷中還有光:失去珍愛的人事物後,找回重新連結的希望』(台湾版)
自殺をケアするということ』(共著)
喪失とともに生きる』(共著)

研究テーマ

イギリスにおける社会システムとしてのグリーフケアの発展

2003年に母の自殺を経験し、2006年に自殺対策基本法が制定以来10年に渡り、グリーフケア(死別を経験した人たちのケア)について、全国の自治体、宗教者、学校を対象として講演や研修、講座を行ってきた。2009年に私が立ち上げた団体リヴオンは「グリーフケアが当たり前にある社会の実現」を目指して活動をしてきたため、英国ではグリーフケアはプライマリ・ケアとして認められている、既に、死別後、遺族に医療者から情報提供が行われる仕組み(社会政策)が確立されているため、英国の大学院で研究することを決めた。またヨーロッパでは家族を亡くした遺児たちへのサポート団体のネットワークも築かれつつあり、そうした民間団体と社会政策がいかに効果的にグリーフケアを確かなものにしているのかを学び、帰国後、日本の社会政策に反映できるよう研究を行いたい。

谷村忠幸

所属先
厚生労働省
最終学歴
大阪大学医学部医学科卒業
派遣先
ロンドン大学衛生熱帯医学大学院・政治経済学院(LSHTM/LSE: MSc Health Policy, Planning & Financing)
派遣期間
2016年9月~2017年9月

研究テーマ

ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)達成に向けた効果的施策

日本の経験・知見をもとに世界の保健医療に貢献したいとの思いから、大学卒業後、医師を経て、厚生労働省に入省し、診療報酬制度、臓器移植、世界結核戦略(世界保健機関に出向)などに携わり、2014年より途上国の公的医療保険制度の構築支援など、二国間協力に従事している。日本は、1961年に国民皆保険を達成し、健康長寿を享受してきた経験から、世界中の全ての人が基礎的な保健サービスを負担可能な費用で受けられる体制(UHC)を推進し、保健システムの強化に積極的に貢献していくことを表明している。これに寄与すべく、国際フェローとしては、諸外国の事例の比較研究から、UHC達成に至るまでの課題・施策・プロセスを分析し、日本と諸外国の経験を踏まえたUHC達成に向けた効果的な施策を研究したい。

正木 祐輔

所属先
総務省大臣官房秘書課課長補佐
最終学歴
東京大学法学部卒業
派遣先
ハーバード大学大学院 修士課程
派遣期間
2016年7月~2018年7月

研究テーマ

東アジアにおけるデモクラシーの現代的課題と解決

総務省入省後、山口県庁で市町村財政の調査、総務省・内閣府で市町村合併や地域主権改革に従事。熊本県庁では、くまモンの展開や水俣病問題、県財政の運営に携わってきた。直近では、熊本地震からの復旧・復興に取り組んだ。
国際フェローとしては、新興国のみならず、成熟した先進国にとっても現代的な課題であるデモクラシーについて、東アジアの市民社会やその歴史、経済理論や政治・経済哲学、ギリシャ以来のデモクラシー理論と実践など、様々な角度から研究する。先進国、とりわけ東アジアの成熟した民主政国家が抱えるデモクラシーの課題は何か、また、その解決のため、どのような仕組みが良く理論付けられ、良く機能するかを分析し、地方分権改革の残された課題である「真の住民自治の拡充」を実現する方途を探る。

向野 雅彦

所属先
藤田保健衛生大学医学部 リハビリテーション医学I講座 講師
最終学歴
慶應義塾大学大学院医学研究科 博士課程 (単位取得退学・課程博士取得)
派遣先
Swiss Paraplegic Research
派遣期間
2016年4月~2017年3月

研究テーマ

リハビリテーション分野におけるICF(国際生活機能分類)をベースとした生活機能評価システムの作成

学生時代に脊髄損傷のリハビリテーションの現場を見学したことをきっかけに、脊髄損傷を始めとした神経障害のリハビリテーションに強い関心を持ち、2003年に九州大学医学部を卒業後、一貫してリハビリテーション医療に関わってきた。
現在は、リハビリテーション専門医として臨床に従事しながら、研究としてはより高い練習効果を得るための動作分析やロボットの研究とともに、リハビリテーションの質を高めるための取り組みとして国際生活機能分類(ICF)を用いた生活機能(日常生活活動や、社会活動など)の評価システムの構築に取り組んでいる。ICFはWHO生活機能の客観評価を実現し、国際的な比較や介入効果の検討に用いられることが期待されているが、現在はまだ臨床の現場で広く普及しているとは言えない状況にある。
今回国際フェローとして、ICFの臨床への導入に向けた国際的な共同研究の中心となっているSwiss Paraplegic Researchに留学する。臨床家の立場からICFの臨床導入に向けたモデル構築に国際的なチームと協働して取り組み、リハビリテーションの質の向上に貢献したい。

山岡 祐衣

所属先
筑波大学ヒューマン・ケア科学ヘルスサービスリサーチ研究室
最終学歴
筑波大学大学院人間科学総合研究科疾患制御医学専攻博士課程
派遣先
オクラホマ大学
派遣期間
2016年8月〜2018年7月

研究テーマ

児童虐待・ネグレクトの死亡事例検証と他職種との連携体制ついて

小児科医として勤務する中で児童虐待や重大事故による障害を負った子ども、死亡に至った子どもに出会い、児童虐待の“予防可能性”に関心を持つ。国内ではネグレクトによる死亡事例、乳児の事故、虐待による頭部外傷などに関する研究を実施した。次に、諸外国で実施されているChild Death Reviewシステム(死亡事例を検証し公衆衛生的な予防的介入に繋げていく)について学ぶため、国際フェローシップではオクラホマ大学のCenter on Child Abuse and Neglectに留学する。また、オクラホマ大学で実施している他職種による児童虐待について学ぶプログラム(Interdisciplinary Training Program)にも参加し、医療・児童福祉・司法分野の人材が相互に学び合う教育制度についても学ぶ予定である。今後、日本での児童虐待の研究体制構築および専門職育成に繋がるよう研究・知見を深めることを目指す。