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2017年度フェロー(第6期生)紹介

青山 愛

所属先
テレビ朝日総合編成局アナウンス部(2017年7月まで)
最終学歴
京都大学経済学部
派遣先
ジョージタウン外交大学院
修士課程
派遣期間
2017年8月~

研究テーマ

国際社会のジェンダーイシューの考察および女性権利向上のための包括的広報戦略の立案

社会に潜む問題を掘り起こし、人々の意識を変えていくために「声なき声」を発信したいと、2011年からメディアの世界で働いてきた。しかし、その中で、日本および国際社会において、「女性の声」が埋もれやすいこと、正しく反映されていないことに問題意識を感じるようになった。バイアスやステレオタイプを含む女性の表象や女性の目線が欠落した情報の提示は、社会の不平等なジェンダー規範を作り上げるうえで重大な影響を及ぼしている。UnwomenがSDGsの実行の一環として、ジェンダーセンシティブな情報発信イニシアティブを立ち上げたばかりだが、いかにジェンダーバイアスを取り除く教養と意識を持ち、男女平等を推進するよう、コミュニケーションツールが有効的に活用できるのか、そして社会的弱者の立場に立つ人の「声」に光を当て、ステークホルダーに適切な行動変化を促せるのか、国際的な動きが注目されている。
国際フェローシップを通して、現代のジェンダーイシューおよび国際社会・国際機関の取り組みへの深い理解を取得し、社会の認識を高めるパブリックキャンペーンや包括的な広報戦略を遂行できる専門的知識とスキルの取得を図りたい。

磯部 昌憲

所属先
東京大学医学部附属病院
精神神経科特任研究員
最終学歴
京都大学大学院医学研究科博士課程
派遣先
ケンブリッジ大学
行動臨床科学研究所・精神科
派遣期間
2017年4月~

研究テーマ

精神疾患患者の社会的適応を妨げる個体要因と環境要因

精神科医として、一般臨床診療、矯正医療、産業精神保健、就労移行支援、と様々な角度から精神疾患患者の社会的適応を支援してきた。よりよい社会的適応の実現には、患者側の適応性の向上と、社会環境側の受容構造の最適化の両面が不可欠である。その中でこれまで、適応を難しくさせる個体要因として、状況に応じた行動変容の困難さに着目、その背景にある意思決定過程をテーマに研究を行ってきた。国際フェローとしては、行動変容を困難にさせる背景基盤を明らかにすることを目指し、行動神経科学の歴史が深く多彩な研究手法を持つケンブリッジ大学において、認知機能を含む各種個体要因が実際の意思決定の柔軟性に与える影響を検討するべく多角的に研究を発展させる。また同時に、日本と異なる医療構造を持つ英国における、精神疾患患者の社会的適応の現状と問題点について知見を深め、日本の医療・社会構造により適した社会的適応支援のありかたを模索する。

大林 一広

所属先
一橋大学法学研究科准教授
最終学歴
ジョージワシントン大学
PhD(政治学)
派遣先
オックスフォード大学
戦争の変容センター
派遣期間
2017年8月~
著書
Rebel Recruitment and Information Problems

研究テーマ

国内紛争における国家の対反乱政策

学部時代にザンビアの難民キャンプでのボランティアに携わったことをきっかけに、国内紛争とそれに伴う国際社会の動きに関心を持った。これまでは、国内紛争の過程や紛争終結後の平和構築について、主に反乱軍の組織や行動に注目しながら、研究を行ってきた。事例としては、スリランカやウガンダ、ナイジェリアなどの紛争を中心に扱ってきた。同時に、一橋大学の法学部・法学研究科と国際・公共政策大学院において、国際関係論の教育に携わってきた。国際フェローとしては、国内紛争のもう一方の当事者―国家―の側に注目し、反乱軍の組織と国家の対反乱政策との関係について、分析を行う。その上で、国際社会の国内紛争への介入方法や平和構築政策への含意を探りたい。

小林 綾子

所属先
一橋大学大学院法学研究科
博士後期課程
最終学歴
一橋大学国際・公共政策大学院
派遣先
ハーバード大学ジョン・F・ケネディ行政大学院
ベルファー科学技術・国際問題研究所
派遣期間
2017年8月~

研究テーマ

内戦における人道アクセス問題

国内武力紛争(内戦)と国際社会の役割について、学術及び政策実務の両面で調査研究を行ってきた。内戦後の現場で働きながら、国際社会が、紛争解決や平和構築の分野で抱える課題を克服するためには、内戦の当事者や動向をより理解する必要があると考えた。そこで博士課程にて、人道援助機関が必要な人に援助を届けられない、人道アクセス問題について、紛争当事者がいかなる条件下でアクセスを制限するかという問いを立て、研究している。国際フェローとしては、複数事例の比較分析を行うことで仮説を検証し、博士論文の完成を目指す。

奈良 和美

所属先
国土交通省総合政策局
安心生活政策課企画官
最終学歴
東京大学大学院
法学政治学研究科
派遣先
ロンドン政治経済学院
派遣期間
2017年9月~

研究テーマ

超高齢化社会における都市・交通政策のあり方に関する研究 ―都市・地域全体の健康影響の観点から―

1996年旧運輸省(現国土交通省)入省。以来、主に交通・観光分野の行政を経験するとともに、地方自治体(奈良県庁、横浜市)への出向を通じ税制改革など幅広い政策立案に携わった。具体的には、バリアフリー・ユニバーサルデザイン施策、公共交通事故被害者支援、羽田・成田空港アクセスの改善(バス/タクシー)、地方税制改革に向けた提言、APEC観光大臣会合の開催、WTO政府調達協定改定交渉、新規都市高速鉄道プロジェクト等である。国際フェローシップ・フェローとしては人口・高齢化問題を専攻し、現在までの職務経験も活かしつつ、特に都市や地域のあり方がそこに住む人々の健康に与える影響を分析するとともに、諸外国の政策の実態分析・政策比較等を通じ、客観的かつ統計的な政策立案技法の習得を図る。また、多様なバックグラウンドを有する者との国際的な人脈の形成を図る。

寶光井 英彦

所属先
外務省経済局
経済連携協定交渉官
(平成29年8月退職)
最終学歴
慶應義塾大学法学部
派遣先
スタンフォード大学(法学修士)
派遣期間
2017年8月~
著書
『金融商品取引法の諸問題』(商事法務2012年)(共著)
『逐条解説投資法人法』(金融財政事情研究会2012年)(共著)
『注釈金融商品取引法(第2巻)業者規制』(金融財政事情研究会2009年) (共著)
『銀行業務検定試験受験対策シリーズ(金融商品取引3級)』(2008年経済法令研究会)(共著)
『金融機関のための金融商品取引法コース(TEXT2)』(2008年経済法令研究会)
『Investment management business –recent developments in the regulatory framework in Japan』The EuromoneyGlobal Investment Funds Review 2013
『各国のコーポレート・ガバナンス(第25回)アラブ首長国連邦(UAE)』(月刊監査役No.617)
『中東のハブ、アラブ首長国連邦への進出と法務』(金融法務事情No.1942(2012年3月25日号)

研究テーマ

自由貿易協定及び国際投資協定の現代的課題

弁護士として国内及び海外で10年近い経験を積んだのち外務省に入省。経済条約専門の外交官である交渉官としてヨーロッパ連合、カナダ、トルコ、トルクメニスタンといった世界の各地域との間で経済連携協定の特定分野や国際投資協定の交渉業務を主任した。また、内閣官房事務官を併任し、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の交渉、署名及び国会承認に関する内閣官房交渉官の業務を補佐した。もとより経済連携協定は単に経済的利益のみを追求するものではなく、世界規模の経済的な結合の深化によって世界の平和と安定を増進することを究極的な目的としている。そしてその究極的な目的の達成のためには、かかる条約の成果を日本国民や日本企業が受益することが必須となる。その促進のためには民間の法律家の関与もまた不可欠である。

かかる見地から、国際フェローシップを通じ、派遣先において国際経済法及び国際投資法の現代的課題についてのさらなる研究及び研鑽を行い、その成果を講演や執筆活動を通じて発信し、社会に貢献してまいりたい。

松田 悠介

所属先
認定NPO法人Teach For Japan
最終学歴
ハーバード教育大学院
派遣先
スタンフォード経営大学院修士課程
派遣期間
2017年7月~

研究テーマ

社会的インパクトを実現するためのコレクティブインパクトやリーダーシップフレームワークについての研究

私は、これまで国内の教育格差問題の解決のために認定NPO法人Teach For Japan の活動を通して、厳しい状況に置かれている子どもたちが多い地域に課題解決の担い手を教員として派遣してきた。事業の基礎を構築することができたものの、課題の深刻さから事業のスケールが急務であることを痛感するとともに、深刻な社会課題の解決をNPOが単体で取り組み続けることには限界があると感じた。複雑化する社会課題に対しては、NPOが企業や行政、そして社会と連携しながら課題解決に取り組むことが必須だと思っており、二年間のフェローシップ期間中は下記の研究を行う予定である。

①コレクティブインパクト(集合的インパクト)を通して、事業をスケールさせ、インパクトを創出している非営利組織の研究
②寄付や事業収益などの持続的資金基盤の確立に関する研究
③非営利組織のリーダーシップとマネジメントに関する研究

森光 玲雄

所属先
日本赤十字社諏訪赤十字病院
国際赤十字赤新月社連盟心理社会的支援センター登録心理支援専門家
最終学歴
信州大学大学院教育学研究科
臨床心理学専修
派遣先
サウスダコタ大学
災害時メンタルヘルス研究所
派遣期間
2017年8月~

研究テーマ

国際人道支援分野における心理社会的支援の発展

2001年、語学留学中に9.11テロを経験。以来、大規模災害や紛争時における国際人道支援に関心を持ち始める。大学院修了後、世界190か国にネットワークをもつ人道支援機関である赤十字関連病院に所属し、日本人臨床心理士としては初めて、赤十字の国際人道支援活動に従事する実務家となった。これまで東日本大震災をはじめ、国内外の様々な緊急支援における心理社会的支援(心のケア)活動に従事してきた。また、2015~2017年には、日本政府緊急人道支援補正予算事業の一つであるウクライナ紛争帰還兵および避難民に対する社会復帰支援プロジェクトにて、事業モニタリングリーダーを担当。
国際フェローとしては、大規模災害支援やトラウマ支援先進国であるアメリカにて、災害時の心のケア活動やリーダーシップに関する専門知識をより深め、今後の国際人道支援活動への還元を目指す。近年では、テロや紛争、難民問題等の人道的危機が世界各地で頻発しており、“緊急時の心のケア”の充実はいまや全世界的な課題となっている。日夜続く国際人道支援の現場において、よりメンタルヘルスフレンドリーな支援のあり方を実現し、将来的には国内やアジアにおける災害時の心のケア従事者の育成に尽力したい。